2019シーズンがおわり、浦和レッズはクラブとしての強化体制についての公表と会見を行った。
全文はオフィシャルサイトから:
2020シーズン強化体制のお知らせ(2019/11/26)
2020シーズン 浦和レッズ新強化体制記者会見(2019/12/13)
1人のサポーターとして、まずはこれからの浦和レッズをしっかりと理解する必要があるなと考えた。
今一度会見内容を読み込んだので、自分なりのメモをまとめておく。
(浦和レッズはトップチーム、育成・アカデミー、レディースチームと大きなクラブであるが、今回の記事はトップチームに特化してまとめるものです。)
2020-2022シーズンで目指すこと
2020(改革元年):
キーコンセプト・チームコンセプトを浸透させながら、ACLの出場、得失点差プラス2桁以上
2021(飛躍の年):
選手全員がコンセプトを理解できること、表現できること
2022(3年目):
リーグ優勝
2023 以降:
安定した優勝争いからのリーグ連覇
これを目指す体制は以下のようになっている。
2020シーズンの強化体制と役割
これまではGMが多くの業務を取り仕切ってきたようだが、トップチーム専属のポジションが設けられた。
これにより、代表、フットボール本部長、スポーツダイレクター(SD)、テクニカルダイレクター(TD)という体制になっている。
簡単にまとめると以下のような図になると思う。
それでは会見での説明を抜粋しながら役割について勉強してみたい。
立花洋一代表
代表は組織を統括する立場だと思う。目指すところを掲げ、強化の体制を構築。
会見のコメントを一部抜粋させていただくと…
一番大事なのは、これまでのいろいろな歴史を踏まえて、我々ができなかったことを自覚して、それをどういうふうに実現していくんだ、というところを具体的にお示しすることだと思っています。それをこの何日間、何週間、もっと言いますと私自身はこの夏ぐらいから、来シーズンに向けた浦和レッズの新しい体制、そういったものを考えてまいりました。それは私だけではなく、浦和レッズの幹部が全員集まって議論をして、浦和レッズのサッカーってなんなんだ、ファン・サポーターのみなさまが求めているものはなんなんだ、どうやって実現するんだ、そういったことを考えてまいりました。それを実現していくのが、私の仕事です。
まずは過去できなかったことを振り返ることからスタートしてくれている。そして浦和レッズの根っこの部分からどうするかを考えてくれている。
代表といたしまして、これから浦和レッズを本当に強い、私が2年前に来たときに最大の目標として掲げたFIFAクラブワールドカップの優勝というものにチャレンジしていく、そういった強化の体制というものを考えたときに、今回、今までにない新しい発想で、新しいことをやっていける、そういったメンバーを集めることにしました。
組織を変えるというのはパワーがいるもの。何も考えていなかったらこういう形に現れてこない。変化を恐れずチャレンジしていると思うので、僕は前向きにとらえている(ただし、2019シーズンの結果については悲観的)。
戸苅 淳フットボール本部 本部長
本部長の役割を会見のコメントを抜粋しつつまとめてみる。
- フットボール本部全体のマネジメント
- トップチーム、それから育成部門、レディース部門を掌握した責任者
- トップチームの投資効率は適切か、入場者数とリンクしているか、グッズの売り上げ、パートナー、そしてホームタウン活動とのリンクはしっかりされているか、そういった経営面からの視点で見ていく立場
- 目指すべきところは、勝利のための仕組みづくり
- 勝つために何をすべきなのか、そして浦和レッズが27年間、Jリーグで1回しかリーグ優勝できていない、それはなぜなのか、そういったことを探求して、そのための仕組みづくり、勝つための仕組みづくり、優勝するための仕組みづくり、そして1回だけじゃなく継続して優勝できる仕組みづくりをしていくこと
うおー、めっちゃよろしくお願いしたい。
土田尚史スポーツダイレクター(SD)
これまでGMが幅広い領域を担当してきたが、2020からはSD, TDを配置してトップチームに専念する体制としている。
SDの役割
クラブの象徴的存在であるトップチームに特化した責任者であり、監督や選手、スタッフの編成、他クラブとの交渉、契約業務などを行う役職
西野 努テクニカルダイレクター(TD)
TDの役割
SD業務全般の補佐や選手のスカウティング、クラブ・監督が求める選手のリストアップ。また、監督、選手、スタッフ等を評価するなど、トップチームの運営全般を行う役職
以上が強化体制のまとめ。しっかりと役割を決めている。結果が出なかった場合の責任も明確。仕事をするにあたってはすごいプレッシャーだと思うが、ぜひレッズを強くしてほしい。
本当によろしくお願いします。
チームコンセプト
土田SDの発言には抽象的な話と、具体的な話の両方が含まれている。
キーコンセプトは『浦和の責任』。クラブスローガン『浦和のために最後まで走り、闘い、貫く』を体現を求めていると理解する。
このあたりは、来年度どのような選手が起用されるかで、見えてくるものもあるかなと思う。
チームコンセプト
- 『個の能力を最大限に発揮する』
- 姿勢として『前向き、積極的、情熱的なプレーをすること』
- 『攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレーをすること』
浦和らしいサッカーとは何かと考えると、攻撃的でなければならない、2点取られても3点取る、勝つために、またゴールを奪うために一番効果的なプレーを選択すること。ファン・サポーターと選手が共に熱狂できる空間を共有し、一緒につくりあげていく、それを表現できるのは、埼玉スタジアムであり、浦和レッズにしかできないことだと思っています。
埼スタを熱狂させるためにどうするか、サポーターの力を最大限に活かすにはどうするか、そう考えたときにこういう答えになったのかなと思う。
ええ、熱狂したいです。
0-0で膠着する展開よりも、スタジアムが沸くような3-2の展開の方がいい、という捉え方をしてもいいのだろうか。そういうサッカーを目指すと理解します。
具体的なイメージ
土田SDのコメントでいくつか具体的なイメージで話をされていた部分があるので抜粋させていただきたい。
まず、攻守一体となり、途切れなく常にゴールを目指すプレーを選択することです。具体的に簡潔に説明しますと、守備は最終ラインを高く設定し、前線から最終ラインまでをコンパクトに保ち、ボールの位置、味方の距離を設定し、奪う、攻撃、ボールをできるだけスピーディーに展開する、そのためには積極的で細やかなラインコントロールが必要になると思います。
攻撃はとにかくスピードです。運ぶ、味方のスピードを生かす、数的有利をつくる、ボールを奪ったら短時間でフィニッシュまで持っていくことです。相手が引いて守るときには時間をかけることも選択肢としてありますが、フィニッシュを仕掛けるときにはスピードを上げていくことが重要です。攻守において、認知、判断、実行のプロセス、全てのスピードを上げることが重要になります。このプロセスをチームとして共有して、パフォーマンスとして見せることを目指します。
言うは簡単、行うは難し。
ピッチで起きている事象をしっかり把握し対策をとらないとなかなかうまくいかないのがサッカーの難しいところ。
高い守備ライン、「スピード」ある攻撃をどう構築するか、そこを楽しみにしたい。
雑感
2回ほど、会見の内容を読みなおした。
レッズサポーターじゃなきゃ読めないくらい長い文章。いやサポーターでも厳しかった…
でも読んでよかった。
Q&Aの部分で、補強のポイントは?と聞かれ、土田SDはFWとセンターバックと発言している。
え?ボランチやサイドじゃないの?と思った人もいるだろう。僕もそう思った。
だけど、会見の内容を読み直して気づいたことがある。
求めるサッカーで必要なのは、速さのあるFW(思考スピード、プレーの速度両方の意)、と細やかなラインコントロールのできるセンターバック。と素人ながらに理解した。
2019シーズンを思い出しても、今のレッズでそういうFWは見当たらない。強いて言うなら興梠選手だけど、どちらかというと最後の瞬間で相手を欺いて得点を取るタイプに変化していて、単純なスピードもあるタイプかというと最近はちょっと違う気がする。
センターバックはラインコントロールできるというイメージだと鈴木選手か阿部勇樹選手が思い当たる。岩波選手、槙野選手、マウリシオ 選手、橋岡選手とCB人材はいるので人数はそろってるけど、やりたいサッカーとは違うイメージなのだろうか。ここはちょっとしっくりこない。来シーズンを楽しみにしたいところ。
2019シーズン後半、鈴木大輔選手が高い位置でボールをインターセプトしてカウンターを仕掛けたシーンがいくつかあった。ああいうシーンをたくさん見れるなら確かにスタジアムは盛り上がりそう。前からクレバーにパスコース切って、最後かっさらう、そしてそのままベクトルを前にみんなでゴールに向かう!みたいな。
認識合ってるかな。
コンセプトが決まれば、それに従って必要な選手を呼ぶことになる。
そのコンセプトを体現できる監督を探すことになる。
1年目から監督、選手をごっそり入れ替えることはできない。複数年契約が残る選手が多数いることが会見でも言及されている。3年計画としたのも、ある程度選手の入れ替えが終わる頃を念頭に置いているのではないか。
さて、ここまで浦和レッズについて考え、まとめた強化体制に入る皆さんは大変だったと思う。
だけど、これだけで勝てるほどサッカーが甘くないのはみんなわかっている。
歯車が狂った時、それでも貫けるのか。意思の強さが試される。クラブにもサポーターにも。
浦和レッズは初めてこういった取り組みをしたようだ。
この取組みがどのように浦和レッズを成長させるのか、一人のサポーターとして応援していきたい。
楽しみじゃないですか、これからレッズがどういう道を歩んでいくのか!
前向きな変化、挑戦。後押ししたいと思います。
おわりに
会見の文章は長くて読む気を失いかけていたのだけど、今後のレッズが歩もうとする道を理解することの重要性を以下の記事で認識させていただいた。
新強化体制発表会見の感想:プロジェクトへの期待と不安、そしてクラブとメディアに期待したいこと。
この記事を読んでなかったら、今回ここまで会見の内容を読み込もうと思うことはなかった。
考え方も含めてとても勉強になりました、ありがとうございました。